秋冬のサクラ
木枯らしの吹き荒ぶ頃となり樹木や花にとっても厳しい毎日です。
さて、前回はおまけで二度咲きのソメイヨシノを掲載しましたが、そのあとに10月から開花 するサクラの情報を聞き伝え、何はさておき桜の名所である舞鶴公園を探訪となった次第です。
舞鶴公園はご存知のように大濠公園と隣接し、福岡城・平和台陸上競技場・鴻臚館跡展示館・牡丹 芍薬園などの施設がある総合公園(面積は39.3ha)です。
福岡城には黒田藩始祖如水公御鷹屋敷跡の石碑も建立されており、2014年にNHK大河ドラマで 『軍師官兵衛』が放映された場合は史跡としてより一層の名所になるでしょう。
ところでメインテーマのサクラは名島門裏に位置する西側芝生広場で慎ましく開花しています。
その品種はジュウガツザクラで公園の樹木としては意外に少なく、福岡市内では植物園・アイランドシティ中央公園・西公園などに植えられている状況です。
・ジュウガツザクラ:十月桜、別名は御会式桜、バラ科サクラ属の落葉小高木で10月から翌年4月 上旬にかけて花が断続的に咲く、花弁は10~16枚で八重(淡紅色ないし白色)
※御会式桜は、日蓮聖人が弘安5年10月13日(太陰暦)に武蔵国郷主・池上宗仲の館で入滅され
たとき、庭先の桜が季節外れの花を一斉に咲かせ嘆き悲しんだという由来で名づけられました。
御会式桜といえば10月初旬にオガタマノキの取材で日蓮宗平松山圓誠寺(朝倉市比良松401番地)へ伺ったとき、平石前勝上人が、いまの時期に咲くめずらしい桜は日蓮宗鎮西身延山本佛寺(うきは市浮羽町1292番地)と当山にある旨言われたことを思い出しました。
「好機逸すべからず」で、さっそく本佛寺を訪ねたところ広大な境内(3万2千坪)の頂上に仏舎 利塔がそびえ立ち、御会式桜はその参道左側に多数植えられており、品種はフユザクラのようです。
さらに本堂と鐘突き堂付近にも同種のサクラがあって折から紅葉に映え見事な開花状態でした。
・フユザクラ:冬桜、別名は小葉桜、バラ科サクラ属の落葉小高木で10月から翌年4月上旬にかけ
て花が咲き続ける、花弁は5枚で一重(微淡紅色から白色)、十月桜は同種とする資料もある
荘厳な本佛寺山門 仏舎利塔と御会式桜 仏舎利塔への参道
※本佛寺には何とお釈迦さま・日蓮聖人のご遺骨が仏舎利塔・御真骨堂に奉安されています。
(明治初期に日蓮宗鎮西栴檀林として開基の歴史があり、鎮西身延山と称される所以です)
なお、有名な福岡市内東公園の日蓮聖人立像(奈良の大仏、鎌倉の大仏に次ぐ国内第3位の
巨大青銅像)建立を推進したのは日蓮宗宗務総監であった本佛寺第5世佐野前励上人です。
花弁は5枚 本堂の紅葉と御会式桜 東公園の日蓮聖人銅像
そして、再び圓誠寺で御会式桜を拝観、偶然にも品種は本佛寺と同じく冬桜でした。
平石上人のお話によると、桜の下には河野静雲の句碑「さずかりし露の身うきもよろこびも」が 建てられ、先々代の弁英上人時代はこの場所で句会も開かれていた由です。(風流ですね)
※河野静雲は高浜虚子に師事したホトトギス派の俳人で、時宗総本山遊行寺執事を務めました。
本佛寺にも日蓮聖人にちなんだ句碑「御会式の御難絵灯籠仰ぎ見る」があります。
※冬桜は十月桜と比べ非常に希少で福岡市内の公園には植えられていません。
山門の右側が御会式桜 河野静雲の句碑 本佛寺と同種で花弁は5枚
前々回から寺社巡りとなって恐縮ですが、今回のブログは五度総務課経理係のOldManでした。