シナノキの開花
昨年、福岡タワー前広場のシナノキと百道浜西緑地のカラタネオガタマに関するブログを掲載
しましたが、シナノキの開花は環境や個体に起因するためあいにく見られず、この時季を待ちわび
て茹だるような暑さの日、木枯らしの吹き荒ぶ日もひたすら観察を重ねてきました。
そしてはや10ヶ月が経過した5月の初旬、なんとTNC放送会館側のシナノキに花芽が付いている ではありませんか。
花序の柄についているヘラ状の細長い総包葉(花芽の保護と種を飛ばす羽の役目をする)と蕾を 確認したときのよろこびは言葉に表せないほどです。
1989年のアジア太平洋博覧会(よかトピア)開催後に植えられて以来、20有余年を経てようやく 開花時期を迎えるまでに成長しました。
もう一対のシナノキは惜しいことに葉の成長などあまり勢いがなく、太い枝枯れも数本確認され ややさびしい状態です。
シナノキと近似種のボダイジュは報恩寺(臨済宗妙心寺派:東区香椎3丁目)・恵光院(高野 山真言宗:東区馬出5丁目)・大濠公園児童広場(中央区大濠公園)に現在咲き匂っています。
しかしシナノキは私の知る限り福岡市内においてここ1箇所のみで幼木さえ見かけません。
さらにその頃、百道浜西緑地ではカラタネオガタマが大きな乳白色の花を付けていました。
散歩している市民の方はこの木が2本とも宅地側に位置しているため、ほとんど気付かれないようです。
カラタネオガタマは赤花品種(ポートワイン)もあり、日本古来種のオガタマとは同じモクレ
ン科で葉はよく似ているけど、花や枝の形、また樹高が全く異なります。
百道浜西緑地の北側入口 カラタネオガタマの花 ピンクのポートワイン
ところで今回は4月下旬頃偶然に見付け、仏事に不可欠な極めつけの木を取り上げました。
非常に希少で未知の樹木、それがこのアカバナシキミ(赤花樒)です。
当初、ミヤマシキミと推測し花と葉を調べた結果はシキミ科に間違いなく、ほとんど流通し
ていないシキミの園芸改良品種と考えられ、皆さんもおそらくご存知ないでしょう。
・ミヤマシキミ:深山樒(深山・山地に生え有害なことや枝葉がシキミに相似)、ミカン科
の常緑低木で葉を透視すれば油点が散在、葉をちぎるとシキミ同様線香の匂いがします。
シキミの花 シキミの結実 (八角:8個の袋果) アカバナシキミの花
余聞ですけど、シキミはアニサチン(痙攣性の神経毒)を含むため「毒物及び劇物取締法」上、 植物で唯一劇物に指定されています。
ことに果実は毒性が強く、中華料理に使われるスターアニス(トウシキミの果実で無毒:八角) というスパイスに間違えられた事例も度々あって、食すると中毒症状(ひどい吐き気とケイレン) を起こし最悪の場合は自分が仏様になります。
線香の木といわれ「抹香臭い」という言葉の語源通り、くれぐれも要注意、怖いですね。
あざやかな色の花弁 アカバナシキミの神秘的な結実 シキミ(赤花・白花)の2ショット
(十一角:11個の袋果)
珍妙なシキミとカラタネオガタマの花、紅白そろい踏みで縁起が良く(?)めでたいことです。
ブログ担当は八度総務課経理係のOldManでした。