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「街路樹」とは、道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要な施設として、道路管理者が設置する「道路の付属物」の一種です(道路法第2条第2項)。法律上の位置づけとしては、信号機やガードレールと同じということになりますが、これらと決定的に異なる点は、街路樹が生き物であるという点です。
生き物である以上、街路樹は周りの環境や他の生き物、ひいては私たち人間に対してもお互いに影響を及ぼし合いながら成長していきます。
そのため、街路樹は単なる「道路の付属物」としてではなく、様々な機能を期待されて植えられています。
What is a street tree
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街路樹の主な役割としては、以下のものがあります。
The role of street trees
街路樹は、都市の中で最も人の目に触れる緑であり、日々の都市活動において人々に潤いをもたらす貴重な緑です。
風格ある街路樹は、その都市の顔として、訪れる人々に様々なイメージを与えるとともに、その都市の印象を大きく左右する重要な財産です。
春の新緑、夏の木陰、秋の落葉、冬の木立姿など、季節によって移り変わる樹姿、季節ごとの開花は都市に彩りをあたえ、人々の生活を豊かにしています。
街路樹の枝葉が自動車などの騒音を低減するほか、排気ガスやPM2.5等の影響を軽減し、私たちの健康への影響を低減してくれています。
ケヤキやイチョウなど、本来は明るい色をしている樹皮でも、交通量の多い道路沿いでは自動車の排気ガスが付着して樹皮が真っ黒に汚れていることもあります。
街路樹の下は、日射が遮られ、また道路からの照り返しや放射熱が少ないことから、体感温度が低くなることが知られています。
活発な経済活動などを背景に、都市部ではヒートアイランド現象の発生など様々な問題がおこっており、その解決のために緑が果たす役割が特に大きくなっています。
歩道と車道の間に植えられている街路樹は、歩行者と自動車の通行帯を分離し、歩行者の安全性を高めます。また、連続して植えられている街路樹は運転手の視線を誘導する効果のほか、中央分離帯の街路樹は夜間に対向車のヘッドライトを遮ることによる防眩効果を発揮します。万が一、自動車が事故により歩道に突っ込んでしまった際に、街路樹が緩衝帯となって被害を軽減してくれるケースも多々あります。
自然が少ない都市部において、街路樹は鳥や昆虫、小動物などにとっても貴重な生息環境となります。連続して植えられている街路樹は、生態系のネットワークにおいて重要な役割を有しています。
街路樹には大地震や火災が発生した際、倒壊する家屋を受け止め、避難経路を確保したり、水分を多く含んだ街路樹は燃えにくいことから市街地の延焼を食い止めるなどの効果があります。これらの効果により多くの人命が救われたケースは、阪神淡路大震災など過去の事例で広く知られています。都市の防災面においても、街路樹は多様な機能を発揮します。
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福岡市では約50,000本の街路樹(高木)と、低木(ツツジ等)や地被類(ヤブラン等)を管理しています。
天神中心部の渡辺通りや、博多区の大博通りなどの都心部のメインストリートから、郊外の住宅地内を通る生活道路上まで、至る所に街路樹は植栽されています。
下記検索ページより、福岡市の街路樹や公園等の情報を調べることができます。
Street trees in Fukuoka City
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街路樹は、当たり前ですが「樹木」であり、生き物です。長い歴史の中で環境に適応しながら進化を重ねてきました。そのような樹木たちにとって、本来の生息環境とは異なる市街地の道路は非常に過酷な環境であり、道路空間の持つ特性上、様々な生育上の制約を受けています。それでも、街路樹は健気に成長し、私たちに様々な恩恵をもたらしています。
街路樹の機能は、個々の樹木が健全に生育してこそ最大限に発揮されます。
そのためには、樹木の健全生育にとって必要な作業を行い、あるいは機能を損ねるような不必要な作業(過度な剪定など)を行わないことが重要です。
福岡市では、街路樹管理に関する知識と技術を有した専門職員が、日々維持管理業務を行っています。詳しくは、下記の特集ページもご覧ください。
About management of
street trees
福岡市の街路樹※に関する要望・お問い合わせは、下記までご連絡ください。
なお、よくあるお問い合わせについては【福岡市の街路樹Q&A】にまとめておりますので、こちらをご参照ください。
※国道、公園管理の緑道など、一部管理対象外の街路樹もあります。