2014年07月01日
みどり課
ここ数年、日本の住宅周りの景観が随分と良くなったと感じています。日本の戸建住宅は、敷地を塀や生垣等で囲み、庭は閉鎖的で居住者個人が楽しむスタイルのものが多く見られます。
よく言われているのが、農耕民族と牧畜(狩猟)民族の違いです。日本を始めアジア諸国の多くは、元々農耕生活を営み、敵(動物等)から襲われることを避けるために、自らの空間の周囲を取り囲みことで、閉鎖的な空間が安心で落ち着き、そういうことで、閉鎖的な庭のスタイルが多いということです。一方、欧米諸国では牧畜(狩猟)民族を起源とし、また個人主張が強い国民性もあり、開放的な庭のスタイルが浸透していったということです。これについては諸説があるようです。また、一説では農耕民族は定住志向が強く、逆に牧畜(狩猟)民族は移住志向が強いということから、庭に対する考え方にも差異があるといわれています。つまり、前者はあくまでも個人の敷地に固執し、後者は個人の敷地も公共空間の一部という捉え方です。いずれにしても、日本の住宅の庭=閉鎖的、欧米の住宅の庭=開放的というスタイルが漠然としてあるように思います。
福岡市城南区の戸建住宅 NZ クライストチャーチの戸建住宅
NZ クライストチャーチの戸建住宅 NZ クライストチャーチの戸建住宅
NZ クライストチャーチの戸建住宅 ドイツ フライブルクの戸建住宅
日本では、他人様に自分の庭を見せるのは恥ずかしい、という傾向もあるようですが、一方で丹精こめて作りあげた自慢の庭を公開する催し(「オープンガーデン」)も、最近、福岡でも徐々に広まってきています。
冒頭でも触れたように、最近、福岡の住宅地のまちも美しくなったと思います。敷地の沿道、あるいは玄関前を開放的に花や緑で装飾することで、車庫回りを含め外部空間との断絶がなくなり、極めてオープンな沿道景観を呈する箇所が増えています。これは、もしかして予算的に十分な庭を確保することが困難なための、苦肉の策の結果かも知れませんが、街並みの景観向上という意味では大いに効果があると考えています。花や緑が沿道に増えると、道路を利用する歩行者あるいは車中からも、とても気持ちがいいものです。最近は、集合住宅でも沿道空間にボリュームある緑化を施し、また窓際やバルコニー等にわずかばかりでも花や緑の飾り付けを行い、外に向けてまさに"おもてなし"の発信が増えてきたと感じています。もしかして、住宅緑化、街並み緑化の欧米化が進みつつあるのでしょうか。いずれにしても、花や緑に携わる者としては、とても歓迎すべき傾向であると考えています。
皆さんも、日頃からこのような視点で、福岡の街並みを少しでも意識して感じていただければ幸いです。
スイス ベルンの集合住宅 福岡市城南区の戸建住宅
福岡市西区の戸建住宅 福岡市西区の戸建住宅
福岡市早良区の戸建住宅 福岡市中央区の戸建住宅
福岡市西区の戸建住宅(平成25年度 「花と緑のまちづくり賞」受賞)
ところで、当協会では毎年「花と緑のまちづくり賞」の表彰を行っています。市内の住宅地を含めた建物まわりの、いわゆる花や緑による美しい沿道空間(街並み)を募集し、まちづくりに貢献している箇所を表彰することで、周囲に美しい景観が波及していく効果を期待しています。あいにく、今年度の募集は6月末で締め切りましたが、来年度も募集しますので、どしどし応募をお願いいたします。
今回は、みどり課のTKがご案内しました。