市内の珍しい街路樹についてご紹介します!

2015年09月15日

みどり課

 

   協会のみどり課は、今年4月より区所管の公園緑地の維持管理が各区の直轄管理になったことから、街路樹係がみどり課に編入され、企画推進係との2係体制に変更になりました。ということで、私事ではありますが、以前、街路樹の維持管理業務を担当していたこともあり、年数を経て随分と様変わりした市内の街路樹について、懐かしさもあり、とても関心をもって街路樹係の業務に注目しています。
 ところで最近、住宅地の緑化樹木として「シマトネリコ」(別名タイワンシオジ)が大変な人気で、どこでも目にする機会が増えました。春から夏にかけて、白い清涼感のある花、実をつけ、街路樹でも、かなり植えられるようになりました。病虫害にも強く、丈夫で管理しやすいという利点があり、今後もますます増えそうですが、実生でどんどん増えるので街路樹等の公共樹木としては、民有地へも簡単に入り込み、大変やっかいな樹木のようです。
 私が街路樹の担当をしていた頃(20~25年前)、じつは福岡市で初めてシマトネリコを試験的に植栽しました。場所は、福岡空港滑走路南側道路(井尻粕屋線)の立花寺近辺に植栽された延長250mにも亘る街路樹です。実際にシマトネリコの植栽に関わったのは別の先輩職員で、同じ係内で植栽に至る経緯等を直近で聞いていました。当時は、候補としてコブシまたはシマトネリコということで、結局、当時国内でもあまり植栽事例がないシマトネリコに決定しました。
 先日、この福岡市初のシマトネリコの街路樹に久しぶりに接する機会があり、走行中の車から観察していたところ、どうみても他で見かけるシマトネリコの姿と違うことに、気が付きました。シマトネリコはモクセイ科トネリコ属の高木で、雌雄異株とのこと。他で見る多くのシマトネリコは、実をたわわにつけ、実が落ちると地面の清掃に苦労している状況です。

 

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  シマトネリコの街路樹(鳥飼地行線)

 

 

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ヤマトアオダモの街路樹(井尻粕屋線)

(雌木も数本あり)

 

 

  この福岡市初のシマトネリコの街路樹は、実をつけない雄木に間違いない。ということで半ば納得したものの、街路樹係の職員に聞くと、冬は完全に葉を落とし丸裸になる、ということでした。ここでも疑問が湧き、他のシマトネリコは冬でも葉をつけ、常緑~半落葉樹として分類され、原産地は沖縄や台湾の亜熱帯地方のようです。やはり、おかしい。真相を確かめるため、親しくさせていただいている樹木医に、同定をお願いしたところ、何ということでしょう!シマトネリコではなかったのです。正確には、ヤマトアオダモ(別名オオトネリコ)とのこと。青森から九州の山地に自生する日本固有種の落葉樹です。そうなんです、福岡市初のシマトネリコではなかったのです。25年近く、誰も気づいてなかったのです。街路樹の台帳でも、ずっと「シマトネリコ」と記載されてきました。おそらく当時は、シマトネリコは大変珍しい樹木であったため、植木屋さんも間違って持ち込み、シマトネリコとして植えてしまったのでしょう。
 しかし、シマトネリコではなく、ヤマトアオダモということで、福岡市初の街路樹の樹種であることは間違いありません。ヤマトアオダモは公園樹としては、日比谷公園の大木を始め、植栽事例は散見されるようです。また、100年以上も前ですが、材質が固く、幹が通直であるため、野球のバットの原料になる、ということで、茨城森林管理署管内ではスギやヒノキの人工林の一部を皆伐して、ヤマトアオダモの貴重な天然更新試験事例もあるようです。しかし、福岡市の立花寺近辺の70本近くの街路樹として列植されているヤマトアオダモの姿は、国内でも、もしかしてここだけかも知れません。そう考えると、またまた自慢できる福岡市の街路樹が増えたことで、愛着が俄然湧いてきました。今回は、みどり課のTKがお伝えしました。


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