シナノキとボダイジュ

  先週の集中豪雨により被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

  また、被災地の一日も早い復興を心よりお祈りいたします。

  実は、私も3反の畑が土砂に埋まった被災者?ですけど、山間道路は寸断され復旧の目処は

全然立っていません。

 

  ところで、福岡タワー前の緑道に「シナノキ」が左右1対あることをご存知でしょうか。

  ここは1981年3月から開催されたアジア太平洋博覧会時に整備され、福岡タワー入り

正面にインドの神像(仏像)10体が安置されており、科の木は仏教の故事にちなみ植えら

れたと推測します。

 

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   シヴァ(大黒天)の左後方に1本   マリーチ(摩利支天)の右後方に1本         高さは8m余り        

 

  しかし、なぜ「ボダイジュ」ではなくて「シナノキ」なのか?

  おそらくその当時は菩提樹の苗木が流通していなかったため、国内産で同属に分類され葉の

が似ている科の木を代用としたものでしょう。

 

  現在でも菩提樹は希少で殆ど古刹に植えられた天然記念物ですが、なんと大濠公園の児童広場

(福岡簡易保険事務センター裏)に1本存在します

  これは高さが10m余り、花が満開にも係わらず芳香はなく一寸残念でした。    

 

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            幹周りは66㎝                     撮影は6月13                 2週間後の結実状況

 

  ※福岡市内で街路樹として植えられた科の木は福岡タワー前の緑道ただ一箇所のみです。

    他県では長野県松本市大名町通りの並木道(30年程前に植栽)が有名で、環境省選定

  「かおり風景100選」に選ばれています。

  ※古刹には臨済宗の報恩寺(東区香椎3丁目17-8)に日本禅宗の始祖栄西禅師が宋の

  天台山から香椎宮へ送ったとされる「日本最初の菩提樹」や浄土宗の善導寺(久留米市

  善導寺町飯田550番地)と天福寺(八女市馬場658番地)に浄土宗第二祖鎮西上人

  ゆかりの「樹齢約800年の菩提樹」が、また、太宰府の戒壇院に開山鑑真和上が唐から

  請来したと伝えられる菩提樹などもあります。

  ※科の木と菩提樹の簡単な見分け方:葉の形が科の木はハート形(やや左右不相称になる

    こともある)、菩提樹はもっと左右不相称であり一目瞭然です。

 

 そして極めつけがこの木、植物園などの温室以外では生育不可能と思い込みながらも探した

「インドボダイジュ」で、高野山真言宗の金千寺(西区今津3062番地)に植えられています

    

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         石門の左側に生育                花芽はなく残念               葉の特徴は先端が尾状

 

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  小さい石仏は観音菩薩、地蔵菩薩        和尚さん手づくりの標本      「インド菩提樹」の標札と坐石

 

  私が訪れた時、和尚さんから印度菩提樹が成長するまでの経緯(苦心談)を懇切丁寧に説明し

いただきました。

  お話の内容は、1991年4月に釈尊成道の菩提樹(子孫木)をミャンマーのウイッジャナンダ

僧正から譲り受け、最初5年間は鉢植えで育ち、その後に地植えし、冬季は防寒対策を行いながら  高さ5mを超えるまでに大きくなり、いつの日か開花するときを楽しみに待っておられる由です。

  到底見ることは叶わぬと考えていた聖木が存在する事実、まさに眼福の至りといえるでしょう

 

 ・シナノキ:科の木、または級の木、シナノキ科の落葉高木、日本原産

 ・ボダイジュ:菩提樹、シナノキ科の落葉高木、中国原産

 ・インドボダイジュ:印度菩提樹、別名は天竺菩提樹、クワ科の常緑高木で葉先の突出長さに

  その特徴あります、インド・東南アジアの熱帯原産

  前述の通り、釈尊が悟りを開いたといわれる仏教三大聖樹の菩提樹は本種で、中国には仏教と

  ともに伝来し廣東・雲南地方で栽培されました

 

 菩提樹に関しては、また機会があれば掲載したいと思います。

 今回のブログは三度総務課経理係のOldManでした。