花と緑のまちづくり賞は、花と緑によるうるおいのある美しいまちづくりを推進するため、まちづくり活動に顕著な功績のあった団体を表彰するものです。
花づくり部門を令和6年4月16日、森づくり部門を令和6年8月7日に審査委員会を開催し、本年度の受賞団体が決定しました。
福岡市緑のまちづくり協会は、今後も市民共働のまちづくりの推進をめざして、当賞を通じて花と緑のまちづくりを推進して参ります。
●表彰の対象
前年度までに「都市緑化及び都市公園保全美化運動並びに花と緑のまちづくりの推進に功績のあったものに対する市長表彰」の「花と緑のまちづくり地域活動功労者」を受賞し、かつ活動を5か年以上継続している団体が対象です。
令和6年度の対象団体は花づくりの活動をされている団体、緑の保全管理をされている団体合わせて168団体でした。
●審査の視点
良好な環境づくり(デザイン性、管理状況)
他の模範となる活動(会員活動、団体の外に向けた活動)
●審査の経過
1.事務局による予備審査により、168団体から7団体を選出
2.事務局によるヒアリング調査及び現地調査
3.審査委員による書類審査・現地審査により、3団体を選出
●総評
【花づくり部門】
審査委員長 西日本短期大学緑地環境学科 教授 髙宮さやか
福岡は春爛漫、遅咲きのサクラの下で審査会が始まり、花壇は見頃を迎えていました。今回は古いまちに永年住んでいる住民の活動や、非常に長く続けられてきた、いわば一人一花の原点のような活動が入選しています。多田羅公園花の会の活動は8人のグラウンドゴルフ仲間がそのついでに始めたという花モリモリの花壇です。その秘訣は公園の側溝に溜まった土砂が腐葉土になっていることに目をつけ、花壇や育苗に利用しているということでした。美和台校区自治協議会は広いロータリ―に学校や企業が参加してチーム制で複数の花壇をつくっており、今後の展開が期待されています。ほかにも50年近く住んでいる住民と子供会が花壇づくりを通して交流していたり、老人会だけで26年間も道路沿いの一角に花を植え続けていたりなど、まさに一人一花の原点を見る思いでした。
受賞となった鳥飼花クラブは住民が花を持ち寄って川沿いの花壇に植えたのが始まりでした。その集まりは平成17年の「第22回全国都市緑化ふくおかフェア(愛称:アイランド花どんたく)」の時に団体となり、今年31年目を迎え、現在では老人会から子供会まで参加しています。
子供たちが大人になったときに、あるいは年老いたときに、また花を持ち寄って街角に植える…そんな自然な活動がこれからも末永く続くことを願ってやみません。
【森づくり部門】
審査委員長 九州大学芸術工学研究院 教授 朝廣和夫
今年度は森を対象として活動する2団体が受賞されました。早良区曲渕で活動される「野河内往還の会」は2015年に登山をする市民を増やすため古の尾根道と野河内渓谷の整備を目的に設立されました。震災ボランティアをきっかけとし、山岳会メンバーが中心となり、約10名でアジサイの育苗・植樹、公開ワークショップを開催されています。活動地は交通量の激しく傾斜のある斜面、登山道と村から山の尾根まで広がりを有しています。戦前から美しいと伝えられてきた往還の道と渓谷界隈を、小学校、地域、そして、他団体との連携活動に展開されてきた点が、高く評価されました。
南区長丘で活動される「竹公園をまもる会」は2017年に自治会住民を母体として設立され、約20名で活動されています。特別緑地保全地区である長丘緑地を対象に、子供から高齢者まで安全・安心・楽しい憩いの場づくりを目的に、竹林整備、草刈り、花壇整備、そして落ち葉の堆肥化などを精力的に行われています。緑地を守っていきたいという想いを繋ぎ、地域内外の人々の集いの場として場づくりがなされてきた点が、高く評価されました。
特色の異なる両団体の熱い思いが伝わりました。また、活動を長く続ける工夫、人と生き物の多様性を意識した活動の大切さも審査会で議論されました。景観づくりを支える人材育成が、さらに展開されることが期待されます。おめでとうございました。
城南区鳥飼校区 樋井川沿い・ウェルカムガーデン
平成6年から樋井川沿いを中心に花植え活動を始め、平成17年の「アイランド花どんたく」のウエルカムガーデン制作をきっかけに正式に団体を結成。活動開始から31年と長く継続して活動している点や、年2回の植え替えには、自治協議会を通して校区老人クラブ、子ども会、鳥飼小学校PTAの親子が参加している点が評価されました。植栽しやすい統一したデザインと固定化した植栽計画で、会員も参加者も負担が少なく楽しく取り組める工夫がなされています。花の植栽を通して広く長く地域交流が行われ、定着化している点が高く評価されました。
南区長丘1丁目13-2(長丘特別緑地保全地区)
住宅地に隣接した長丘緑地において、自治会が中心となって危険木の撤去、歩行の妨げになる枝の剪定や小まめな点検作業を行う等、利用者への安全配慮や快適な環境づくりを心掛けている点が評価されました。2020年からは公園の一角にある 400㎡の竹林整備も開始しており、光の差す美しい竹林へと変化してきています。また、春先には地域住民が参加する『青空カフェ』を開催し、懇談しながら自然を楽しむ機会を作るなど、地域に親しまれる環境づくりを行っている点も高く評価されました。
早良区大字飯場
登山道の整備・開通のみならず、大規模なアジサイの植栽計画により、殺風景だった斜面が現在では梅雨の山を鮮やかに飾る一帯へと変化を遂げている点が評価されました。登山道には看板や休憩用のイスも設置され、新たな登山道として登山者に浸透してきており、活動区域には5,000本以上のアジサイを植樹。登山口の他、道路脇や法面等、地域にアジサイが広がっています。また、毎年2回アジサイのワークショップを開催し、会員以外にも呼びかけ、挿し木・鉢上げ等の育苗スキルを伝えながら活動している点も高く評価されました。