サンガンレン(この豆の正体)

2012年07月31日

みどり課

 毎日暑いですね!街路樹の木陰が、ありがたいです。

 今回のブログは、1か月ほど前に終わった、わたしのささやかな探索の旅について書かせて頂きます。

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 6月の梅雨に入るか入らないかの頃、職場の人に『これ、松露?松林にたくさん落ちてるっちゃんね。』と、小さな豆のようなものを1粒渡されました。白っぽくて表面にコゲ茶色の点がついています。硬くて丸い形です。

『何だろう。』松露は見たことないし、松露饅頭にも似ていなかったので、『違うと思います』と言いつつ、その「豆のようなもの」についてはしばらく忘れていました。

 そして1週間くらい経ったころ、小2の娘と小学校の中を歩いてたら・・・ 

私:『あ、これなんだっけ。』 娘:『あ、サンガンレン。』

あの「豆のようなもの」が、下に落ちていたのです。小学校には250本もの松の木があります。

『やはり、これは松に関係のあるものなのだろうか・・・』。急にその正体が気になりだしました。

(「サンガンレン」というのは娘が勝手につけたあだ名でしたが、暫定的にここでもその豆を「サンガンレン」と呼ばせて頂きます。)

 

 それからというもの、わたしは歩くときにはいつも下を見て、サンガンレンを探すようになりました。小学校の松林にも、小学校周辺の道路にも、イチョウの街路樹の根元にもありました。

『もしかして、虫かな。』おそるおそるふたつに割ってみると、胚芽みたいなものがあり、やはり何かの種のようです。そして、果肉がないので裸子植物だろうという見当をつけ、針葉樹の種の可能性が高いかな、と考えました。針葉樹の図鑑をしらべたり、松の実で画像検索したりしましたが、ヒットしません。

 ひょっとして樹木の幹に寄生する(松にもよく着いている)、ノキシノブの種かと思いましたが、ノキシノブはシダ植物なので種ではなく、胞子です。

 このようにして、わたしの悶々とした2週間が過ぎました。(もちろん、仕事もちゃんとしておりました)

 

 そしてその2週間に決着をつけたのは、夜にとても強い風雨があった日の翌日でした。

 出勤していると、歩道に白くて丸い小さいものが落ちています。

 

『あ、サンガンレンだ!』

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 よくよく見渡してみると

『サンガンレンが、たくさん落ちている!!』

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 さらにしゃがみこんで探すと

『あっ!これはー!!』

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 黒い実が踏みつぶされて、中からサンガンレンが出てきています!

 

 上を見ると・・・?

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 【タブノキ】の黒い実がたくさんついています。

 そうです。サンガンレンの正体は、タブノキの実の種だったのです。つまり「被子植物の種」であり、「松露」でも「虫」でも「裸子植物の種」でも「ノキシノブの種」でもなかったのでした。

 こうしてわたしのささかな探索の旅は終わりました。(今はもう下ばかり見て歩いているわけではありません。)

 

 それでは、なぜこれが松林やいろんなところに落ちていたのでしょうか。

 ここから先は推測です。

 タブノキは アボカドに近い種類の木で、その実は鳥に人気なのだそうです。鳥が食べて、松林やいろんなところでフンをして、雨がフンを洗い流して、サンガンレンだけが残ったのではないか、と考えています。

 鳥による種子散布。タブノキの生き残り戦略ですよね。素晴らしいです!

 しかし、鳥による種子散布のおかげで、わたしのささやかなサンガンレン捜査が攪乱されたのは、言うまでのありませんが・・・。

 

 以上、みどりに対する探求心を失わずにいたい、みどり課企画推進係でした。


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