命名:ヤナギケヤキ??

2015年07月03日

みどり課

植物ホルモンのお話です

 

 植物ホルモンは植物自身が合成する物質で、植物の生理成長を調節する機能を持っています。その中のオーキシンとサイトカイニンについて解説します。

 

 オーキシンという植物ホルモンは芽など植物の地上部先端で合成され、幹枝の先端の成長を促進する機能を持っています。また、幹枝の途中や側方の芽の成長を抑制する機能を持っています。

 

 サイトカイニンという植物ホルモンは主に根の先端で合成され、側方の芽の成長を促進する機能を持っています。

 

 相反する機能を持つ物質が植物体内にあることになりますが、一般に頂芽優勢と言われ、先端の芽や枝でより高くより広く成長しようとして、先端が無くなればすぐに脇芽を出して代わりの枝を伸ばそうとする植物の性質です。また、これら植物ホルモンのバランスが樹種によって異なり、幹がまっすぐ上に伸びる樹木や、横に広がる樹木などの個性が生まれます。

 

 また、枝を切ったり芽を摘んだりすることでホルモンのバランスを人為的にコントロールして、思うような形に仕立てたりといった管理をすることもできます。

 例えば、バジルは先端の芽を摘めば脇芽が伸びだして、葉の収穫量を増やしたり背丈を低くして倒れにくくしたりできます。生垣の刈り込みも、先端の芽を刈り取ることで側芽が増え、枝が密集した生垣になります。

 

 樹木は適切な位置で剪定を行わないと、植物ホルモンのバランスを崩して樹形が乱れることがあります。

 例えば、ケヤキの落葉の掃除が大変だからと、先端の枝を残さずに一度に樹形を縮めたりすると、残った枝の途中から細い枝がたくさん伸びて垂れ下がり、ヤナギのような樹形になることもあります。小枝が多くなるので、かえって葉の量が増えてしまうこともあります。こうなると見栄えが悪く、夏の木陰は狭くなり、風通しも悪くなって病害虫が発生しやすくなります。悪いことばかりでますます愛されない樹木になってしまいます。

 

これらの写真はすべてケヤキです。右の写真は「ヤナギケヤキ」か「シダレケヤキ」とでも名付ければよいのか・・・哀れです。

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自然に近い樹形            矯正管理された樹形          過度の剪定を受けた後の樹形

 

 植物の生理にとっては、自然なままの樹形を保つことが一番ストレスが少ないようですが、街路樹など制約の多い場所での植栽ではそうもいかず、時にホルモンバランスを保ちつつ崩しつつ剪定管理され、過酷な環境でなんとか生き延びてくれています。

 健気に生きる街路樹をどうか見守ってやってください。

 

 落葉の季節にはボランティアで道路清掃をされている地域の皆様をよくお見かけします。大変ありがたく思っております。

 街路樹の管理作業でも落葉の季節は道路の清掃を行っていますが、限界があります。ですので、地域の皆様のご協力が不可欠です。

 これからも落ち葉清掃に地域の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

みどり課 Nでした。


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