街路樹は、海外では紀元前より都市をつなぐ街道に並木として植栽されてきた歴史があり、日本でも奈良時代には旅人の食料を兼ねて街道に果樹を植えていたという記録があります。近代以降、明治時代には東京市を中心に計画的な街路樹の整備が行われ、戦後の高度経済成長を経て、1970年前後の環境問題に対する意識の高まりに対応するかたちで全国の街路樹が整備されてきました。
道路の歩道や中央分離帯に植えられている樹木(ケヤキ、ツジなど)のほか、花壇の草花などが街路樹として管理されています。
街路樹は道路法で信号機やガードレールと同じ「道路の付属物」に位置付けられていますが、これらと決定的に異なる点は街路樹が生き物であるという点です。
福岡市では、「福岡市 新・緑の基本計画」に基づき、緑に関する総合的な施策の中で街路樹の整備・育成管理を行っています。
街路樹は様々な役割を期待されて植えられています。
街路樹の役割については、こちらで詳しく紹介しています。
福岡市で管理している街路樹は、令和2年3月1日現在、高木だけで約50,000本あります。ホルトノキが一番多く、次いでケヤキ、イチョウ、クロガネモチ、クスノキと続きます。ホルトノキの街路樹は関東などでは少なく、地域性を表しています。
樹木はエネルギーを得るために枝葉を繁らせ、光合成を行います。
また、樹木は不要な枝を自ら枯らすのですが、街路樹の性質上、樹木の自然な生長にまかせていると、様々な弊害が出てきます。枝葉が込みすぎないにようにしたり、並木としての景観を整えるため、信号機への障害や枯れ枝を取り除くために樹木の剪定を行います。
ツツジなどの低木では、大きくなりすぎると視認性を妨げたり、花つきが悪くなるので定期的に刈込作業を行っています。
街路樹の植栽帯にはどうしても雑草が生えてきます。これらは景観を損ねたり、通行者の視認性を妨げるので、定期的に除草作業を行っています。
街路樹には、有害な毛虫などが発生することがあり、これらの早期発見・対応に努めています。発生が大量でやむを得ない場合には農薬散布を行うこともあります。
樹木は生き物なので、菌類(キノコ)やウイルス(細菌)などが原因で病気になることがあります。病気が進行すると、枯れてしまったり、強風時に腐朽した部分から折れて事故につながるリスクがあるので、樹木の専門家である「樹木医」の意見も参考にしながら、街路樹の健康調査を行っています。
すべての街路樹は、新陳代謝を維持するために毎年古い葉を落として新しい葉に更新しています。落ち葉は、街路樹が様々な役割を発揮し、機能を維持していくうえで必ず発生するものです。福岡市では、主要な幹線道路では落ち葉の時期に清掃回数を増やして対応しておりますが、すべての落ち葉を回収することはできません。
沿道の皆様には、良好な街路樹を維持していくために落ち葉掃き等のご協力をお願いしております。
街路樹は大切な役割を持った市民の財産です。無断で剪定することや、花をちぎったりすることは法律で禁止されています。街路樹に異常を発見した場合は、管理者に連絡してください。また、自動車事故等で街路樹を傷つけてしまった場合は、管理者と警察に速やかに連絡してください。
街路樹を沿道工事等の理由で撤去する必要が生じた場合は、「自費工事申請」を行い、許可を受けてから作業を行う必要があります(道路法24条)。
これらにかかる費用は、すべて申請者が負担しなければなりません(道路法第57条)。
また、街路樹を沿道工事等の理由で剪定する必要が生じた場合は、「街路樹剪定承認願」を提出して管理者の許可を受ける必要があります。
申請に関する申請書様式等は、各種様式ダウンロードを参照してください。
自費工事・自費剪定を検討される場合は、申請書提出の前に、下記連絡先まで事前相談をお願いいたします。
連絡先 みどり課 街路樹係
092-260-8818