福岡市の中心・天神から歩いて15分の舞鶴公園。春の梅や桜の名所として知られています。公園のシンボルは黒田官兵衛ゆかりの福岡城跡です。お城を守るためのお堀の名残が今も残り、水辺にはさまざまな植物や生き物が生息しています。
夏の朝はハスやスイレンの花が見頃です。少しだけ早起きをして、夏の舞鶴公園の水辺を観察しながら、ゆったりお堀端を散歩してみませんか。
ハスは主に1号濠、2号濠、3号濠、スイレンは4号濠、6号濠で観賞できます。
毎年6月下旬から8月中旬頃までハスの花を鑑賞できます。花の先端がピンク色の清楚な白い花の花言葉は
「清らかな心」「神聖」。夏の朝にハスの花を賞で、清々しい気持ちで1日を迎えましょう。
ハスの開花は早朝、昼すぎには閉じてしまうので、午前中の鑑賞がお勧めです。時間が合えば、花が開く瞬間を
その目で確かめることができるかも…?開花の状況は随時『旬の情報』コーナーでお知らせします。
ハスの花の寿命は3~4日間、寿命を迎えた花は花弁を閉じることなく花びらを散らします。
1~5号濠は、交通量の多い明治通り沿いにあります。
車道より一段下がったお堀端の園路は、クルマを気にせず安全に観覧できる絶好のスポット。
天神から徒歩20分とは思えないみずみずしい雰囲気のなかで、ゆっくりとハスを楽しむことができます。
明治通り沿いに、裁判所前あたりから地下鉄・大濠公園駅あたりまで1kmほどお堀が続いています。通りからお堀端の園路に降りると、立ち上がった緑のハスの葉が目の前に広がり、まちなかに居ることを忘れてしまいそう。上之橋から大手門あたりまで続く一番広い3号濠にはマガモなど水鳥をはじめとして魚や昆虫などさまざまな生き物が生息しています。
ハスの葉の上をコロコロ転がる露が朝日を受けて宝石のように輝いています。
2号濠と3号濠の間の上之橋からは、 お堀の向こうに福岡タワーを望めます。
ビル群の中に広がるハス。
まさに都会の中の水辺の自然。
舞鶴公園のお堀は、まちなかにある貴重な水辺としてトンボ、 コイ、サギ、カワセミ、カモなどさまざまな生き物の生活の場になっています。
水辺にはハスやスイレンなどの植物の他、いろいろな鳥も生息しています。1号濠ではアオサギ、3号濠ではマガモ、5号濠ではカワセミの他、冬季にはさまざまな鳥を観察できます。風格を漂わせ悠然と園路を歩くアオサギに出会えるかもしれません。
ハスやスイレンの合間を飛んでいくいろんなトンボや蝶、水面をスイスイ滑るように移動するアメンボとさまざまな虫たちが生息しています。お堀に目を凝らしていけば、もっと水中生物を発見できるはずです。
お堀のあちらこちらで見られるツクシオオガヤツリはカヤツリグサ科の一種で県指定天然記念物。高さが1.5メートル以上にもなる大型の多年草で、絶滅危惧種に指定されている希少植物です。福岡城のお堀で最初に発見されたため、和名にツクシ(筑紫)の名が冠され、また他のカヤツリグサ類に比べ、著しく大型のためツクシオオガヤツリと呼ばれるようになりました。くれぐれも茎を折ったりしないようにお願いいたします。
大手門、(伝)潮見櫓・下之橋御門の石垣の下には一面にスイレンが広がっています。水面を覆う濃い緑の葉の間に、水面に浮かぶように咲く淡い黄色のスイレンの花。水面の動きに合わせてふわふわ揺らぎ、その上をトンボや蝶など小さな昆虫が飛び交っています。下之橋から大濠公園方面へと続く5号濠では、カワセミや季節の水鳥たちを観察できます。お堀に映る石垣も美しく、春には桜並木とともに水面を彩っています。
下之橋の上には見事なアジサイが群生しています。
5号濠沿いの園路を歩くと、 水面を渡るそよ風が涼しく頰をなでてくれます。
舞鶴公園の南側、花菖蒲園を抜けて進んでいくと、国体道路の護国神社前にあるのが6号濠。多聞櫓の裏の小道からも降りていくことができます。水面にはスイレンが広がっています。この場所では淡い黄色のスイレンの花だけでなく、赤い花も咲いています。
お堀の中で赤いスイレンの花を観ることができるのは、この6号濠だけです。また堀の中に設置された鉢のハナショウブは、5月下旬~6月上旬が見頃です。本格的な夏を迎える前は、スイレンとともに色とりどりの花で水面を彩っていました。
お堀の管理で重要なのは、水位の管理です。天気予報をチェックし、梅雨時や雨が多い時季は水門を開けて水位の調整を行っています。お堀の水は雨水を循環させていますが、2ヶ所にスクリーンを設置し、年間50回程度のスクリーンの清掃、さらに微生物によるろ過などを行って、水を浄化しています。その他にも、水質悪化の原因となるアカウキクサや生態系を脅かす外来生物のキショウブなどの駆除対策も行っています。
夏の終わりになるとハスの花托を採取し、冬になるとハス切りを行います。これは春にお堀の水面に映る桜を楽しんでもらうための作業です。採取したハスの花托は乾燥させてイベントなどの際に、フラワーアレンジメントの花材にしたり、ハスの種子をプレゼントしたりして、舞鶴公園の自然資源を市民の方々に身近に感じてもらっています。
今後も利用しやすい公園として維持管理を進めて行きたいと考えています。公園には人の心身を健康にする機能があると思います。ぜひ舞鶴公園に遊びに来てください。
毎年、夏が終わりに近づくころ、お花が終わった後のハスの花托を採取します。、緑化基金に募金をいただいた方に、御礼としてお渡ししています。
乾燥させた花托を舞鶴公園でフラワーア
レンジメント教室の花材に利用しています。
花托から種を取り出して芽を出したハスをパックし、 イベント時に「ハスの育て方ガイド」とともに、募金の御礼 の品としてお渡ししています。
舞鶴公園のお堀は、一年を通して四季おりおりの表情で楽しませてくれます。 お堀をテーマにした写真コンテスト受賞作品の一部をご紹介します。
写真コンテストのページでは、ほかにもたくさんの受賞作品をご紹介しています。 ぜひご覧ください。
▼花と緑のまちかど写真コンテスト受賞作品紹介