花と緑によるまちづくり活動に顕著な功績があり、市民共働のまちづくりに積極的に取り組む団体を表彰する「花と緑のまちづくり賞」が決定しました。福岡市緑のまちづくり協会は、今後も市民共働のまちづくりの推進をめざして、当賞を通じて花と緑のまちづくりを推進して参ります。
●表彰の対象
前年度までに「都市緑化及び都市公園保全美化運動並びに花と緑のまちづくりの推進に功績のあったものに対する市長表彰」の「花と緑のまちづくり地域活動功労者」を受賞し、かつ活動を5か年以上継続している団体が対象です。
令和2年度の対象団体は花づくりの活動をされている団体、緑の保全管理をされている団体合わせて130団体でした。
●審査の視点
良好な環境づくり(デザイン性、管理状況)
他の模範となる活動(会員活動、団体の外に向けた活動)
●審査の経過
1.事務局による予備審査により、130団体から6団体を選出
2.事務局によるヒアリング調査及び現地調査
3.審査委員による書類審査により、2団体を選出
● 総 評 審査委員長 髙宮 さやか
今年度は2団体が受賞されました。博多区立花寺の「花そうかい」は発足から20年近く、毎シーズン4000株前後を育苗して周辺20団体に供給する体制を構築して地域花壇を支える太い根となっており、圃場の花壇も沿道から楽しめるようになっています。また「野間大池公園花学校」は調整池内という地の利(水の利)を活かして無灌水管理を実現され、花の名札を読むだけでも勉強になる見ごたえのある宿根草花壇でした。
今回入賞・入選された6団体の活動からは「持続性」という課題が見えてきました。住民の高齢化は避けられず、だからこそ次世代にどのようにつないでいくかという模索が始まっています。子供会との協働、小学校との連携の他、花壇の会員がミニシルバーセンターとしても活動する、通りがかりの顔見知りに声をかけて一緒に作業、などです。また省力化のためにウッドチップを敷き詰めて灌水・除草手間減に成功、無灌水を前提に花の種類を選抜する、雑木林の落ち葉を堆肥にして保水力のある花壇ができるといった、いずれも是非参考にしていただきたいアイディアとノウハウです。今回の審査を終えて、草の根とはこんなにも確かなものか―50年100年と続く花とみどりの街づくりはもう始まっている、そう強く実感した次第です。
広い花壇を水やりなしでメンテナンス。宿根草や小花木をメインとしたイングリッシュガーデン
【活動場所】 南区柳河内1丁目(野間大池公園) 446㎡
【会員数】 8名
【結成】 平成15年
【活動頻度】 2回/週(植替え…補植のみ、草取り…随時、水やり…植栽時のみ)
【活動のきっかけ・目的】
四季を通じて花を楽しめる公園にして、ごみの不法投棄を減らしたいと町内会を中心に活動を開始。
荒地だった植樹帯に町内会員や周辺住民で花を植えることで、公園を綺麗にするとともに、人の輪を広げ地域を明るくすることを目的に活動を続けている。
【評価された点】
地域の象徴である野間大池公園を周回する広大なボーダーガーデンに、宿根草、球根植物、小花木が9割に配置された多品種で構成された花壇です。剪定や花がら摘みなどの適切な手入れにより花の少ない時期でも見ごたえのある水準が保たれていること、調整池という地形の特性を活かし、植え付け時以外は水やりをしない管理方法などが高く評価されました。
また、花の名前のラベルを付ける、地元タウン誌や園芸HPへの情報提供、地域住民や他団体への苗や種の提供など、地域に向けた広がりのある活動を行っています。
福岡市における育苗ボランティア団体の先駆者
【活動場所】 博多区立花寺1丁目(育苗施設) 266㎡
【会員数】 30名
【結成】 平成16年
【活動頻度】 1回/月(植替え…2回/年、草取り…随時、水やり…近隣会員による担当制)
【活動のきっかけ・目的】
花博のボランティア講座の実習地だった博多区の立花寺リフレッシュ農園で、仲間約30人と「花そうかい」を設立。最初は花壇管理のみだったが、「花苗は高い、自分たちで育てよう」と、育苗ボランティア団体という今のスタイルになった。
近隣の人や車から楽しんでもらう花壇を整備するとともに、花壇ボランティア団体及び公的設備内花壇に向けて花苗を提供し、育苗技術が普及するよう活動を行っている。
【評価された点】
年間15,000ポットほどを育苗し、自らの花壇に植えて地域の人に楽しんでもらうとともに、育てた苗は会員が所属している他の団体等に提供され、福岡市内のたくさんの花壇に植栽されています。育苗用に使った土や、撤去した植物で作った腐葉土を花壇で再利用するなどの体制、育苗施設の管理体制などが長年の経験により整っている点が高く評価されました。
また、育苗体験会の開催、活動日における体験参加の積極的な受け入れなどにより、多くの人に育苗を学ぶ機会を提供している活動は、育苗技術の普及につながっています。