花と緑によるまちづくり活動に顕著な功績があり、市民共働のまちづくりに積極的に取り組む団体を表彰する「花と緑のまちづくり賞」が決定しました。福岡市緑のまちづくり協会は、今後も市民共働のまちづくりの推進をめざして、当賞を通じて花と緑のまちづくりを推進して参ります。
表彰の対象
前年度までに「都市緑化及び都市公園保全美化運動並びに花と緑のまちづくりの推進に功績のあったものに対する市長表彰」の「花と緑のまちづくり地域活動功労者」を受賞し、かつ活動を5か年以上継続している団体が対象です。
今年度の対象団体は花づくりの活動をされている団体、緑の保全管理をされている団体合わせて104団体でした。
審査の視点
良好な環境づくり(デザイン性、管理状況)
他の模範となる活動(会員活動、団体の外に向けた活動)
審査の経過
1.事務局による予備審査により、104団体から6団体を選出
2.事務局によるヒアリング調査及び現地調査
3.審査委員による書類審査・現地調査により、2団体を選出
総 評
市民活動で街角に花壇をつくったり花のコンテナを置こうとしたり、または地域に木を植えそれを育てようとしたりしても、様々な制約があり簡単にはできません。まずその場所に花を植えたり置いたりしていいのか、花や木をいったん植えたら、植えっぱなしにはできないものだから、水やりや花がら摘み、剪定などの管理は誰がするのか、花が咲き終わったら次の花に植え替えられる保証はあるのか、地域の潜在植生と整合しているのかなど、合意や許可などの手続き、活動団体の組織作りや人員の役割分担、植栽とその管理の技術習得、生物多様性の考慮など、様々な対応が求められます。
花壇で咲く花はきれいで人目に付きやすいものだから、そればかりに注目されがちですが、その前段階や過程でも、花や木に直接関わらない地道で粘り強い活動も必要なのです。このことは地域の緑の保全や復元についても同様です。
審査員はこれらの目立たない活動についても気に留めながら審査に当たりました。「花と緑のまちづくり賞」は花壇の出来栄えや緑の量を増やそうと単に木を植える活動を評価するのではなく、地域の自然を大切にし、美しい街並みや環境への配慮、関わる人たちがいきいきとして取組むトータルな活動内容を評価します。その理由は、そういった評価をすることが、真に花や緑が豊かで持続可能なまちづくりにつながるからです。
全国各地で様々なまちづくりが取組まれています。ここで使われている「づくり」という意味は、関わる人たちの心が合わさって具現化させる目標の最終形をいいますが、形になるまでの過程がまちづくりにはとても大切なのです。
今年も地域のことを思いやるいくつもの花や緑の素敵な活動に出会えました。受賞された団体の皆さんには、これからも花と緑の市民活動の模範として活躍されることを期待しています。
審査委員長 和田 博幸(公益財団法人 日本花の会 主幹研究員・樹木医)
活動場所 九州大学伊都キャンパスの生物多様性ゾーン 120,000㎡
結成 平成12年
会員数 55名
活動頻度 月3,4回
活動の目的
NPO法人緑のまちづくり交流協会が主催する 「グリーンヘルパーボランティア養成研修」の修了者が中心となり設立された。未来に美しい豊かな自然や森を残し育てること、環境保全や自然との共生による持続可能な地域社会の形成を目的に活動を続けている。
評価された点
「地域の遺伝子を受け継ぐ、里山再生の活動」
遺伝子レベルでの地域の里山復元を目指し、荒廃した竹林の伐採、近隣樹木の種子採取、播種、育苗、植樹、育林と全ての過程を実践している活動は貴重であり、他の団体の見本となる活動です。
情報発信の面では、ホームページや会報(年2回発行)によって活動を広く発信しています。
「どんぐりの森をつくろう」という地域の小学生を対象としたイベントでは、毎回100名程度の親子が参加して、どんぐり拾い、植物観察、植樹などを実施。未来を担う子ども達に森づくりの大切さや楽しさを伝え、緑に親しむ機会を提供しています。
その他にも、大学生の野外実習、環境省のモニタリング調査への参加、企業や自治体と共働の森づくり等、幅広い環境保全のボランティア活動が評価されました。
活動場所 地下鉄七隈線の駅舎出入口8か所 44㎡
結成 平成19年
会員数 27名
活動頻度 定例会1回/月(植替え:年2回、草取り:月2回、水やり:毎日、剪定:随時)
活動の目的
交通機関の駅に花と緑を増やしたい!地下鉄利用者の元気と癒しになってほしい!来福者の歓迎!という思いで地域の緑のコーディネーターが中心となって活動を開始。
福岡市内の地下鉄駅舎出入口付近おいて花と緑の豊かなまちづくり推進し、地域の方々のコミュニティの場とすることを目的としている。
評価された点
「福岡市内の地下鉄沿線に広がる花と緑のまちづくり」
地下鉄駅舎出入口のプランターに主木やグランドカバーといった緑をベースに1年草で季節感を出すというデザインの植栽になっています。緑の少ない都市部の何気ない場所あるため、狭い面積ですが、目に入ってきやすい面白い効果のあるデザインとなっており、地下鉄利用者をはじめとして多くの人が癒されています。
また、福岡市営地下鉄から活動資金の援助を受ける、地下鉄駅周辺の店舗や駐輪場の管理者といった地域の方々に水やり等の協力を依頼するなど活動を継続しやすい体制が整備されています。
最初は薬院、六本松、橋本駅の3駅から始まりましたが、現在は8駅まで広がり、今後は他の駅も整備する計画になっています。その他にも、福岡市の緑化イベントへ積極的に出展し、緑化啓発活動を行っているなど、活動に広がりがある点が評価されました。