福岡城のヤマモガシPart1
桜花満開の時季到来で何となく気持ちが華やぎます。
黒田官兵衛ゆかりの「福岡城さくらまつり」は3日前まで開かれ、ライトアップされた桜と城壁のコントラストはファンタスティックな光の一大ページェントで、おとずれた多数の人々を夜ごと魅了しました。
しかし、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』は播磨國・豊後國・筑前國の協力にも係わらず意外と視聴率が低く、敵手の毛利輝元・石山本願寺(法主顕如)連合軍以上に苦戦しているようですね。
さくらまつりの黄昏 さくらまつりの夜
さて、昨年の晩春頃、福岡城多門櫓南側樹林には福岡県内でも滅多に見られない希少木中の希少木「ヤマモガシ」が2本生長していると伝え聞きました。
※舞鶴公園樹木調査図によるとヤマモガシは樹高18m、幹周1.25m、葉張り6m及び樹高12m、幹周12.00m、葉張り7mの2本です。
(寸法の一部誤記と考えられ幹周12.00mはあり得ないでしょう)
私はヤマモガシを見たことがなく、モガシ(茂樫)とはホルトノキの別称であるから山に自生している類似の同属木と思い込んでいた経緯もあり、確かめる機会を待ちながら月日は流れました。
多門櫓を望む 多門櫓の内曲輪 多門櫓南側樹林
年の瀬が迫ったある日、舞鶴公園樹木調査図を頼りに多門櫓へ行きました。
そこは城の高石垣に沿ってクス・ムクノキ・クロガネモチなどの大木が混生している場所で、ホルトノキ群も多数見られ、驚いたことにその中の1本は幹周2.57m、樹高は13m、樹齢は150年以上(公園に整備される前からの自然木と考えるほうが妥当)と推定され、これはもしかすると未知のヤマモガシではないかと大いに期待しながら詳細に観察の結果は、ホルトノキの特徴が多く他の種とは考えられません。
また、付近のヤマモガシとある木も同様で、もう1本は樹高の関係上落ち葉と幹を調べたところやはりホルトノキに相違なく少々ガッカリですが、時間の都合上結論は後日更なる調査を行い確認することにしました。
・ヤマモガシ:ヤマモガシ科の常緑高木、東北地方以西に点在する珍しい樹木で葉はヤマモモや
ホルトノキの葉に似ており、若木の葉は粗く鋭い鋸歯があり成葉は全縁です。
(名の由来は果序の様子がモガシに似ているから)
・ホルトノキ:ホルトノキ科の常緑高木、別名モガシ、古い葉は落ちる前に紅葉するので常に一部の葉が紅葉している、本州以西に分布し街路樹や公園によく利用されており、各地の社寺林の中で巨木が見られます。
ホルトノキ(幹周2.57m) ヤマモガシ?その1 ヤマモガシ?その2
年明けの休日、ヤマモガシは糟屋郡志免町の亀山八幡宮にあることが分かり、早速「善は急げ」と曇り空で写真撮影不向きにも係わらず幻の木探索です。
大鳥居を潜って急な石段を上ると社殿の前に一見クスノキに似ている巨木(あとでスダジイと判明、幹周6.17m、高さ10m程)がご神木として祀られていました。
その裏(南側)には鬱蒼とした森があり、いよいよヤマモガシに初のご対面と相成ります。
・スダジイ:ブナ科の常緑広葉樹、別名イタジイ・ナガジイ、普通シイといい、材が硬く耐潮性
は強いため丈夫で巨木になりやすく幹周が10mに達するまで成長した木も確認されています。
亀山八幡宮 ご神木(スダジイ) 本殿
亀山八幡宮の森(東側) 「亀山八幡宮の森」説明版 亀山八幡宮の森(西側)
未知の樹木探索やこれ如何に、「福岡城のヤマモガシPart2」、6月下旬に掲載します。
ブログ担当は十二度、総務課総務係(経理係は組織変更で減)のOldManでした。