現場の怪談
朝夕はだいぶ過ごしやすくなりました。熱帯夜のときのように
ふとんをはだけさせてお腹を冷やさないように注意しましょう。
では今回のお題ですが、お腹を冷やす→肝を冷やすということで、
行く夏を惜しんで今夏最後の怪談とまいりましょう。
とある公園の工事現場で
コンクリートの壁の穴からしたたり落ちて
道路に赤い帯になって流れているもの
これは・・・血?・・・
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ちがいます。
今回は、湧水について面白い勉強をしましたのでちょっとご紹介です。
この現場では、
竹やぶから浸み出してくる水の通り道が真っ赤になっています。
乾燥した部分を触ってみると、赤くて細かい粉末が指について、
サビのにおいがします。
またこの現場には湧水があり、水がたまっているところの
水面にはぎらぎら光る油のようなものが浮いています。
赤い綿のようなものが沈殿しているところもあります。
なんだこりゃ?ということでネットや文献をあさってみました。
赤いのは鉄サビ(酸化鉄)、
油のようなものは酸化鉄が水面に浮いて膜を作ったもの、
赤い綿のようなものは鉄バクテリアまたはその死骸、
だそうです。
なぜこんなものが出てくるのでしょうか?
原因は、地下水に溶けている鉄分でした。
地下水中に含まれる水溶性の鉄分は、地表に出て酸素に触れると
不溶性の酸化鉄になって、沈殿したり水面に浮いたりします。
これが、血が流れたように見えたもの、油が浮いたように
見えたものの正体です。
鉄が水に溶ける?不思議に思われるかもしれませんが、
鉄の粉が細かい粒子になって水の中に浮いているのではなく、
塩が水に溶けるように、透明な水の中に溶け込んでいるのです。
詳しくはこちら→水中の鉄とマンガン
また、溶けている鉄分が酸化される時にエネルギーが発生しますが、
そのエネルギーを利用して生存している、鉄バクテリアと呼ばれる
微生物がいます。利用済みの酸化鉄は、バクテリアの体内に蓄積されます。
これが、赤い綿のように見えたものの正体です。
昔から、井戸や湧水から出る鉄分を含んだ水は「金気(かなけ)水」と呼ばれ、
独特の臭気と苦味があるので嫌われています。
水道法による飲料水の水質基準では鉄0.3mg/l以下となっています。
この現場の湧水は、含まれている鉄分が特に多かったので、
このような現象となってあらわれたということでした。
さて、現場ではこの水を利用した池やせせらぎが計画されていますが・・・
・・・血の池地獄になったりして・・・
なので、水の中の鉄分を取り除く仕組みが必要になるかもしれません。
前述の鉄バクテリアが水中の鉄分を吸収・蓄積する性質を利用して、
水中の鉄分を取り除く除鉄ろ過方法が実践されています。
鉄バクテリアを利用したろ過池の除鉄効果とその維持管理
鉄バクテリアによる地下水の環境用水利用に関する実験的研究
これらを参考にして、きれいな流れができるように提案していきたいと
思います。
今回はこの辺で。
緑地環境課の現場監督Nでした。