福岡城址の奇妙な樹木 Part2
今年も残すところわずか2週となり寒風吹きすさぶ師走の街に慌ただしさを感じるこの頃ですが、
舞鶴公園西側広場は先々月から御会式桜(十月桜)が開花し、晴れた日は八重の白い花弁と青空のコントラストが厳冬の季節をしばし忘れさせてくれます。
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』は3日後に最終回を迎える予定でこれから楽しみが減りますね。
天気予報以外、テレビを見ることのない私が故あって唯一興味をもち、初めて年間を通じ視聴率アップに寄与しました。
冬日に映える福岡城址(大手門) KBCテレビで放映された連理木
(エノキ 幹周2.25m)
満開の御会式桜 黒田武将隊御一行様
さて、前回に福岡城址周辺のクスドイゲをカウントした結果、成木は4本、幼木(高さは1.5m以上)は8本確認しました。また、隣接する大濠公園(県の管理)でも成木が数本見られるようです。
大濠公園入口東のクスドイゲ 大濠公園入口西のクスドイゲ 大濠公園ボートハウス前のクスドイゲ
(幹周1.10m 高さ8.0m余) (幹周2.15m 高さ8.5m余) (幹周1.54m 高さ8.0m余)
九州縦貫道路のみやま柳川で下り国道209号線を10分程走行し堀切公民館に着いて、地元の方々に宗高神社及びクスドイゲの古木を尋ねると、皆さん一様に不思議な顔をされた挙句、「さあ、玉垂神社のクスノキ(樹齢1000年)は知っているけど?」「こりゃーあかんわ!」点と点の会話となり時間が過ぎるばかりです。それでも地図を頼りに40分程探し廻ったけど所在がまったく分かりません。
途方に暮れ「高速道路通行料金とガソリン代は無駄だったかなー」せこい独り言を呟きながら駐車している地点へトボトボと戻る途中、偶々出会ったお年寄りに最後の望みを託し問いかけると「私がお祀りしているそこのお地蔵様たい」、パッと光明が射し、また親切にも案内して頂きました。
・宗高神社:みやま市瀬高町河内にあり、祭神は柳川藩3代藩主の重臣竹迫種重で、同じく祀られ
ている地蔵尊は天保年間に建てられました。
霊験あらたかで、最近は受験祈願の神様としてお参りする人が多くなったそうです。
宗高神社全景 小堂とご神木 小堂東側の地蔵尊
宗高神社(地蔵尊)は堀切公民館の南東側100m程の水路沿いに位置し、二つの小堂に石神様と地蔵様が祀られており、境内の石積み上にご神木(クスドイゲ)が鎮座しています。
幹周は1.74m、高さは8.0m余で幹は3分裂し主幹は2mの部分から折れ、樹皮は成木のような縦に剥がれる荒々しさも消え年輪を重ねた風情があり、舞鶴公園のクスドイゲとは明らかに異なる印象を受けクスノキのようでした。
ご神木 枯淡のような幹 ひこ生え(幹周0.28m)
帰途、時間的な余裕が多少生じ、八女市の堺屋(旧木下家住宅)に庭木として植えられているクスドイゲがあるので立ち寄ることにしました。
・堺屋:八女市本町184番地にあり、明治41年に建てられた造り酒屋の木下家旧居で、家屋の建材
に勢を尽くし、今では手に入らない貴重な木材(屋久杉1枚板の欄間や幻の黒渋柿の柱など)が
使われています。また南出入口の外壁及び倉庫の白壁は外堀と共に歴史的景観として貴重です。
堺屋へは午後4時半過ぎに着き、本当は閉門の時刻に係わらず管理人さんのご好意によりゆっくりと邸内を見学することができて非常に助かりました。
庭園はよく手入れの行き届いた枯山水で、クスドイゲは枝を剪定され趣がある雰囲気の中に見事溶け込んでいます。
堺屋(南の表玄関) 北の裏玄関から望む庭園 庭園の風景
幹周は1.10m、高さは8.0m余で幹は2分裂し、樹齢は幹の状態から200年以上と推定しました。(管理人さんのお話では家屋が建つ前から庭木として植えられていたそうです)
ただ、午後5時過ぎになると夜の帳が下りて調査が不可能になりとても残念でした。
形の整ったクスドイゲ 胴吹きの状況 風格がある老いた幹
クスドイゲは数も少なく樹齢200年程で地方自治体の天然記念物に指定されており、神村のクスドイゲ(広島県福山市神村)のみ樹齢300年で、宗高神社の500年以上は大幅にそれを凌駕し現時点では聞いたことがありません。また、堺屋の200年以上も天然記念物指定に相応しい銘木と云えます。
それにしても福岡城址(舞鶴公園や大濠公園)はクスドイゲのパラダイスですね。
ブログ担当は十五度、総務課総務係の
Oldmanでした。